2022.04.13 Wednesday
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目を閉じて、見ないようにしたはずなのに
神経がまだ、尖っているのか
耳の後ろのあたりからじわじわと
重苦しい腹の底からじわじわと
生暖かい舌の間からじわじわと
冷えた末端とは違って、むずがゆい
ニヤリ、と男が笑う
「楽になりたいんです」
影しか残っていないけれど、それだけが辛い
行き着く先はだいたい想像できるけど、正解じゃないから
忘れてしまう、そんな妄想、思い出せない
「見なかったことに」
振り向くと、女が座っていた
指し示している、方向は何も見えない
見えないのだ、私は影だから見えないのだ
見つからないようにと、影であることに
来た道を戻ったとしても、同じではないだろう
私が踏み潰してきたのだ、黒く、黒く
もう、かえるばしょはないのだ、